いつ買ったか覚えてないのですが、少し前にこの「現場のプロが本気で教える HTML/CSSデザイン講義」という参考書を買いました。
これまで私は、HTMLとCSSは趣味で触るくらいでした。
もちろんWeb系の会社にいた訳でもありませんので、実際の現場のルールやコーディングというものを知らず、ほとんどが我流です。
趣味であろうとWebサイトを触る人間であれば、実際のWebデザインの現場のやり方は知っておきたいところ。
というわけで、「現場のプロが本気で教えてくれる」そうなので、やってみました。
全体的な内容について
まず初めに、HTMLやCSSの基礎の基礎といった部分は理解していることが前提です。とはいえ個人的には、それほど最初のハードルも高くないように感じました。
全体的な内容としては、
- SASS利用環境の構築
- CSSの重要ポイントの理解(優先順位など)
- SASSの記法の理解
- SASSを利用したサイト制作
1~3は準備編の様なもので約100ページ、4がメインの内容で約170ページくらいです。
SASSを利用したサイト制作を、実際に手を動かしてやってみるのがメインとなります。
SASSの基本を学べる
直接CSSを組み立てるのではなく、SASSを利用して効率良くサイト制作を行うのが、本書のメインテーマのひとつです。SASSは簡単に言うと、変数やら関数やら演算やらができる便利な進化系CSSです。
プログラムを少しでも触ったことがある人であれば、すんなり頭に入るのではないでしょうか。
例えば、複数の要素に同じ色が設定してあるとします。
変更するとなったら、CSSのそれぞれの値を変更しなければなりません。
ですがSASSを利用して、色の情報が入った変数を定義して、それぞれの値としてその変数を指定してやれば、変数の値を変更するだけで全ての要素の色が変わるのです。
メインのサイト制作のチャプターでも、最後までSASSを用いて制作していくので、嫌でもSASSに慣れます。
そしてその効率の良さから、通常のCSSを組み立てるのが億劫になるかもしれませんね。
修正等のメンテナンスに強いHTML/CSSを学べる
こちらも本書のメインテーマのひとつ。ただ単に見た目が綺麗なコードを書けば良いという訳では無く、将来的なメンテナンスや他人が触ったときの事を想定したHTML/CSSの組み立て方を学べます。
HTMLはパーツごとに分け、それぞれに独立したCSSを設定します。
CSSの組み立ても決められた考え方があり、本書で「BEM」という設計手法が用いられています。
CSSを適用する際はHTMLタグにclassを設定する訳ですが、このclass名の付け方をルール化しておくことで、管理しやすくなるということですね。
私も全てを理解した訳では無いのですが、これまで気分で名付けていたclass名と、ルールに従って名付けたclass名を比較すると、やはりルールに従った方が全体的に見易いです。
このBEMの特徴をひとつ挙げるとすると、子孫セレクタは一切用いないという点です。
header nav ul { list-style-type: none; }みたいな指定の仕方ですね。
あとID名も用いませんので、設定を行いたいHTMLタグに対してclass名のみをルールに従って設定しまくるのです。
<header class="header">こんな感じで、class名をそれぞれの要素に設定していきます。
<div class="header__head">
<h1 class="logo">鳥取さんのホームページ</h1>
・・・
結構特徴のある名付け方をするので、最初は変な感じがするかもしれませんね。
(アンダースコア2つ記入のルールは特に)
BEMの詳しい内容は検索すると沢山でてくるので、色々参考にしてみてください。
内容に間違いが多いので注意
さて、そんな実際の現場のコーディングを学べる良い本なのですが・・・、ここで大きな問題があります。尋常じゃないくらい本の内容に間違いが多いです。
びっくりした。本気でびっくりした。
ありとあらゆる箇所が間違っとる。
これほど内容が間違っとる本は初めて見た。
いや、誤字は別に良いんです。意味は分かりますから。
ソースコードの大部分がまるごと違うとか、説明文の通りに完成しないとかは本当に勘弁してほしい。
「~~すれば〇〇になります。」と書いてあるのにそうならず、実際は次のページの設定をしなければそうならなかったり。
読者にとっては本の内容が全てで信じざるを得ないので、読んでて挫けそうになりました。
以下、正誤表です。
1つ目は、発行所のソフトバンククリエイティブの公式ページの正誤表ですが・・・、一部のみです。
2つ目は、著者のGitHubのページの正誤表で、公式ページよりも正誤表が充実しています。
正誤表が充実してるっていうのもすごい悲しいのですが、残念ながらこれでも全ての間違いを網羅し切れておりません。
「じゃあどこに真の正誤表があるんや!」って話になりますが、そんなものは存在しません。
あまりの多さに、著者も正誤表の充実を諦めてしまったのでしょうか。
そう・・・答えは君たち・・・、『読者自身』が導き出すんや・・・!
最後に
内容の間違いは多いですが、間違い探しだと思ってやってみると、意外と勉強になったりもします。予想外の間違い探しで、進捗はとても遅くなりますが。
それでも実際の現場のコーディングを身に付けることができるのはとても大きいです。
間違い探しに挑める強いハートをお持ちの方はぜひ読んでみてください。